幻魔大戦 第18巻 ハルマゲドン幻視 (角川文庫) 平井 和正

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角川「幻魔大戦」の第18巻は、既存の宗教に対する問題提起 特別な内容

角川「幻魔大戦」第18巻。このシリーズは、第1~3巻はまさに「幻魔大戦」であったが、第4巻以降は、東丈主宰のGENKENの活動を追うという、日常生活に密着した詳細な物語に、一気に変化してしまいます。第4巻以降は「幻魔とのこぜりあい」あるいは「自己探求の物語」であり、しかも、途中で、原因不明のまま東丈は失踪してしまう。

東丈失踪後は、井沢郁江が代理を務めるが、東丈の姉の三千子も活動に参加するようになる。そしてこの第18巻の内容が、シリーズ内でも屈指のずば抜けた内容になっている。

この巻の主軸は、東三千子と、作家土屋との、既存の宗教、神についての対話である。キリスト教の聖書における欺瞞性、神の怒り、つまり、神の意向に背くものは地獄に落ちるという形で支配してくる「脅迫宗教」の加害性、怒れる神や嫉みの神とは本当に神と言えるのか、という正当な疑問、そういう対話が繰り広げられ、宗教的な哲学の世界へ案内してくれます。

ものすごく語弊があるかもしれませんが、ここでは、聖書が、数千年の歴史の中で、COPY機もなく、ただ写本してきただけで、写し間違い、あるいは、キリスト教会の都合による意図的な改ざん、これがないと果たして言い切れるのか? という問題提起があります。

自分は宗教に詳しいわけではないのですが、今、大きな問題になっている中東問題を調べていたら、現在、キリスト教には、福音派プロテスタントという宗派があるそうで、この宗派は、聖書の物語(世界最終戦争たるハルマゲドンなど)が現実になる器として、ユダヤ人による国家イスラエルを支持する特徴があるそうです。ネット情報によると、2016年時点で、世界の福音派は6億1,900万人と推定され、アメリカの福音派は、1億人近く、同国の人口の4分の1を占め、最大の宗教グループだそうです。アメリカは、世界で最も福音派の割合が大きい国なのですね。

福音派プロテスタントというのは、「聖書の言葉を絶対的な真理と受け止め、その一字一句をそのまま信じる人々」の総称らしいです。「幻魔大戦」第18巻の問題提起と、もろにぶつかるのですよ。自分は、この点については判断を保留します(危なくて書けません)。

また、この作品では、宗教問題について意義深い対話がなされるのですが、しかし、サタンについて語ること(書くこと)は、作者が惧れて、そこで対話がストップしてしまいます。実は、現在、LUCIFERが関与している自分としては、それを一番知りたかったのに・・・。

ですが、サタンというか、つまり、ルキフェルについては、同じ平井和正氏の徳間「真幻魔大戦」の第14巻で、井沢郁江の前世、つまりムウ大陸のソル王女が超古代の幻魔書を用い、ルキフェルを呼び出して、直接対話します。ルキフェルの語る内容については、作者が、真実を書けているかどうかは不明ですが、気になる向きはそちらもどうぞ。

角川「幻魔大戦」は、GENKEN時代に入っても、特に東丈の最初の講演会とか、難病で寝たきりの子供である木村明雄を救う話とか、素晴らしい内容がちりばめられていますが、その中でも、この第18巻は特別な内容だと思います。

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