Listen to Me -1991.7.27-28 幕張メッセ Live(2021年30周年リマスター)【通常盤2CD】 中森明菜

ESP

30年前のCDとは別物なので、買いなおして大正解

中森明菜の(”事件”後の、多分初めての?)復帰コンサートの記録である。約30年前に発売されたDVDもCDも購入したが、歌唱力が落ちているというか、歌唱が粗くて、ファンとしては残念で、手放してしまった。

自分は、中森明菜の全盛期や、この後のいろいろなアルバムなどを含めて、40年間くらいずっとファンなのだが、この「LISTEN TO ME」だけは受け入れることができなかった。そう、踏み絵のようなCDなのです。

ただし、自分は、最近ずっと、歌手、または歌手グループの口パクが気になってしまう。自分の認識では、明菜は全盛期はもちろん、歌唱法が変わった”事件”後も、基本は生歌で、ほとんど口パクはしない。だから、多少、歌唱力は落ちていても生歌の方に、自分は価値を感じるようになったので、今回、意を決して、このCDを買いなおしたのです。

そこで、「LISTEN TO ME」(30周年リマスター盤)を聴いたのですが、なんと、歌唱が全面的に改善されている。最後のメドレーの「北ウイング」で高音がよくでていないのが(多分)意図的に残されている程度で、どのように作業したのか、全面的な改良が施されている。当時の生歌、とは、少し違うと思うが、全然不自然さがなく、「明菜がもう少し好調だったら、こういう歌唱になっていたのだろう」という仕上がりになっている。もともと歌唱力のある人だから、ファンとしては、これはありだと思う。

30周年リマスターということで、もとを知らない人が増えたので、ワーナーがこのリマスターを強行したのかもしれない。このハイレゾ版(ラッカーマスターサウンドの第一弾)が、E-ONKYO(当時)で販売され、2021年に麻倉怜士氏が特選をつけているのも納得した。マスタリング・エンジニアはハイレゾもCDも同じ菊地功氏なので、おそらく、実質的に中森明菜のデビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズのラッカーマスターサウンド化の第一弾は、このアルバムだ。

どちらかというと、この全面的な歌唱の改善作業の効果で際立つのは、アルバム「CRUISE」から選曲した数曲(LIAR、乱火、雨が降ってた…)が今となっては中森明菜のドキュメンタリーになってしまい、歌唱に鬼気迫るものがあること(自分は妙に冷静で平坦な「CRUISE」(ラッカーマスターサウンド化される前の旧盤ね)の歌唱よりも、このコンサートの歌い方の方が好きだ)、何曲か途中で涙で歌えなくなりそうになること、バンド演奏がところどころ甘いこと、一方、ノーカットの明菜のトークが暖かいこと、やっとこれらのことに気付くことができた。

最初から完璧なコンサートだった「よみうりランドEAST LIVE」(DVD、CD)はトークが丸々カットされていたので、「EAST LIVE」とはまた違った良さがあるコンサートだと思います。買いなおして大正解でした。

追記

最近、中森明菜「CRUISE」(ラッカーマスターサウンド)を聴いたが、旧盤とかなり違う。もとは音楽世界が薄暗くて、歌唱がいまいちで、そこがあまり好きではなかったのだが、全面的に明るくなり、歌唱も上手く聴こえる。一番暗かった、数曲あるバラードは一気に明るく、表現力豊かに、歌唱も上手くなっており、一方、都会的な歌はもっと軽快に開放的になっている。

一方、ボーナストラックに、同じ曲が数曲収録されている(『Collection 1982-1991』Version) が旧盤とほぼ同じに聞こえる。ほとんど編曲を変えていないので、同じ歌をもう1回、聴いている感じがする。ただ、旧盤の「CRUISE」にあった薄暗さがこっちにはあるので、これがもともとの「CRUISE」に近く、つまり、化粧前であり、歌唱も音楽も、あまり冴えない。

だから「CRUISE」はラッカーマスターサウンドで化粧されており、明らかに音質と言うよりも、歌唱も音楽も向上しているのがわかる、というか簡単にバレる。

化粧による、BEFORE、AFTERと言う感じで、ワーナーは手の内を開き直って、見せてきている。中森明菜のデビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズのラッカーマスターサウンド化の最後が「CRUISE」だからだ。

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