クレヨンしんちゃんの独自性

COMIC

全く、羞恥心というものがない。これはある意味、すごいことだ。

自分は、若い時からクレヨンしんちゃんが好きで、臼井儀人のCOMICも、TVアニメも、劇場用映画も観ている。TVアニメや映画は昔の方が面白かったかな。

Wikipediaによると、「2015年12月時点でコミックスと国内外の関連書籍を合わせた全世界累計発行部数は約1億4800万部(『クレヨンしんちゃん』は全50巻で5500万部、『新クレヨンしんちゃん』は既刊4巻で300万部とコミックス累計は5800万部、関連本は約2000万部、海外関連書籍は7000万部)を記録しており、双葉社の書籍としては最大の発行部数である。」だそうだ。すごいね。

特徴的なのは、これは確か青年向けのCOMIC本に収録されていたはずで、そのため、アダルトねたが多いのだ。しんちゃんは5歳児なのに。
そのため、PTAからは「子供に見せたくないアニメ」第1位に指定されていた時期もあったと思う。

でも、映画化10周年記念作品の劇場版「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」(2002年公開)が、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞してから流れが変わった。Wikipediaによると、「2006年4月から中学3年公民の教科書・補助教材3つに(クレヨンしんちゃんが)使用されることになった。中でも帝国書院は野原家の特性を活かし、「核家族の代表」として、親等図つきで正面から取り上げていた。」とのこと。

しんちゃんの面白いところは、大人も子供も、普段、当たり前だと思っている部分を、突き崩して、笑いに変えるところですね。
例えば、フツー、子供は「元気」というのを、しんちゃんは「お元気」と言う。それは、通っているアクション幼稚園の担任のよしなが先生が「みなさんお元気ですかー?」と皆に聞くので、皆が「元気ですー」と答えるが、しんちゃんは、聞かれた通りに「はい、お元気、お元気!」と答える。これ、意味が違ってしまい、面白い。

劇場用アニメで、夜、しんちゃんが父・ひろしと一緒に入浴するシーンと言うか場面がある。カメラは家の外にいて家を映しているだけだが、なにげなく浴室の声だけが聞こえる。「とーちゃんのマンモス、お元気ィ?」「元気だぞー。しんのすけのぞうさんはどうだ?」「お元気、お元気!」

しんちゃんは、人前で、ぞうさんを出すことも、お尻を出すことも、全然抵抗感がない、というか、自ら、進んで、人に見せている。全く、羞恥心というものがない。これはある意味、すごいことだ。だから、原作COMICも、ぞうさん丸出しだし、TVアニメも、劇場用アニメもぞうさん丸出しである。このフィルムが海外に輸出されて、しんちゃんは海外でも人気があるようだが、国によっては5歳児のぞうさんにモザイクをかけているそうだ。そのほうが、エッチだよね。

ある意味、しんちゃんは変態なのか、人格者なのか、わからないところがあって面白い。これが、劇場用アニメになると、大人が観ていても、時々「ハッ」とするような台詞を、しんちゃんが言う。例えば、何の話だったか、しばらく野原一家が現実社会に戻れないでいるところ、父・ひろしが、しんみりと「会社のみんな、心配してるだろうな」と言うと、しんちゃんが「大丈夫だよ、とーちゃんが思うほど、みんな、思ってないよ」とか言う。まさに、真実だ。会社の人間は、休んでいる人間のことなんか、何とも思っていない。

アクション幼稚園の園長先生の顔がコワイので「組長」「組長先生」と呼んでいるのも、面白い。園長本人は、園児たちにそう呼ばれることを悩んでいる。園長先生が、しんちゃんの家に家庭訪問に来た時は、しんちゃんが「かーちゃん、園長せんせいがきたぞ。家庭コーモンの日だぞ」と言う。

スーパー銭湯では、背中一面に入れ墨をした極道の男性の絵が貼ってあり、しんちゃん「体にお絵描きしている人は(お風呂に)入れないの?」、母・みさえ「そうよ」、しんちゃんがカウンターに乗って半ズボンとパンツをおろすと「オラもお絵描きしてるんですけど」。ぞうさんの周りに、ぞうさんの顔と大きな耳が描いてある。店員「そのくらいでしたらどうぞ。」、みさえ「すみません。おバカな子で」。

で、しんちゃんは女好きなのだが、なんと、同世代の女子には全く興味がなく、対象は女子大生以上の年齢の女性である。ナンパの声も、平気でかけてしまう。女性タレントの水着写真集あるいはヌード写真集なども大好きで、まさにお元気な5歳児なのだ。

母・みさえが妊娠した時は、みさえと一緒にしんちゃんが産婦人科へ行くのだが、「大人しくしていてね」とみさえに言われたのに、診察室にみさえが入ると、待合室のしんちゃんが、早速動き出す。ここは病院だし、しんちゃんは妊娠を病気のようなものだと思っているフシがある。待合室の若い奥さんに、しんちゃん「妊娠ですか?」、奥さん「はい・・・」、しんちゃん「原因は?」。若いカップルには、しんちゃん「妊娠ですか?」、若い男「そうなんだよ、このお姉ちゃんができちゃってさ」、若い女「誰のせいだと思ってんのよ!」。看護婦さんに、しんちゃん「妊娠ですか?」、看護婦「(太っているだけで)私は妊娠してません!」。

あと、今はわからないが、しんちゃんの劇場用アニメには、必ずと言っていいほど、オカマ(差別用語かな。でも、劇場版第一作「クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王」(1993年公開)では、本人が「私はオカマよぉ」と言っているので、オカマと表現する。)が出演する。しんちゃんは「男のおねいさん」と呼んで、ゾーっとしているが。これも、ものすごく現代的な設定で、なかなか面白い。「宇宙戦艦ヤマト」、「銀河鉄道999」、「機動戦士ガンダム」とか、宮崎駿監督作品とか、新海誠監督作品とか、そういう有名なアニメ作品であっても、オカマは多分、出演していないだろうね。オカマっていうのは、男でも女でもないものの見方(あるいは、男女がミックスされたものの見方)をするから、作品が批評的になるのだよね。

で、本格的な恋愛というものも、COMICの後半にはあり、アクション幼稚園のまつざか先生が、整形外科医院の行田徳郎先生を好きになる。やはり、徳郎にもゲイ疑惑があったりして、笑わせるのだが、2人は付き合うようになるのだが、一旦破局して、野原一家やかすかべ防衛隊の働きかけによってまた、付き合うようになる。これは書いていいのか、結局、徳郎は海外でテロに巻き込まれて死亡する。まつざかは、幼稚園では応えていない風を装っているが、ものすごい精神的ダメージを受けており、自殺すら考えている。そのまつざかが、幼稚園の仕事中に飲酒していることがばれて、PTAでもめる。それで、どうまつざかが立ち直るか、まで作者はきちんと描き切っている。ものすごい作家だ。

作家が、突然、荒船山から転落死(2009年9月11日と推定、満51歳)してしまったので、COMICは丁度、50巻で中断したが、まつざかの再生まで描き切った後だったので、読んでいて、まだ救いがある。TVアニメ、劇場用アニメはまだ続いている。すごい作家だったのになぁ。でも、事故ではなく、誰かに突き落とされた事件かもよ? わからないけど。

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