このCDの目玉は、韓国音楽のカバーかな。
先日発売された中森明菜のセルフカバーアルバム「AKINA NOTE」(ワーナー)を聴いたばかりなので、ふと思い、セルフカバーがかなり収録された、20年前の、中森明菜 25周年記念セレクション「ベスト・フィンガー」(2006年1月11日発売、ユニバーサル)を聴きました。
AMAZONでは、曲目だけがわかるので、補足します。
全17曲のうち、TVで使われたのが3曲。「落花流水」は、テレビ東京系「天下騒乱 徳川三代の陰謀」主題歌、「Days」は、テレビ東京系「女と愛とミステリー」エンディング・テーマ、「華-HANA-」は、NHK-BS1「地球ウォーカー」テーマ曲です。
以下、ワーナー時代のセルフカバーに焦点を当てますと。
2005年新録は、「Desire~情熱~」、「少女A」、「北ウィング」、「十戒」、「1 / 2の神話」。
これらは、編曲がほぼもと通りで、バンド風で勢いがあります。ビブラートはもとの半分くらいですが、声が出ているので楽しい。パワーも半分くらいだが、落ち着いて聴いていられます。自分のお気に入りは、「1 / 2の神話」で、(例の事件があったからだが、事件後のコンサートの終盤のヒットメドレーで歌う時のように)「それでもまだ 私悪くいうの いいかげんにして」の「いいかげんにして」が非常にいい。
でもですよ、2002年12月発売の『Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド』で、「DESIRE~情熱~」、「少女A」、「北ウイング」はセルフカバーしたばかりなのですよ? 出来は悪くないのですよ? なぜ3年後にまた同じ曲をセルフカバーしたのでしょうか? それならば、ヒット曲は沢山あるのだから、違う曲をセルフカバーしたほうがまだいいのでは、と思うのですよね。これは理解できない。
他のセルフカバーは、現在は手に入らない1995年12月発売のベスト・アルバム『true album akina 95 best』から、「スローモーション」、「ミ・アモーレ(Meu Amor E…)」、「Tattoo」、「難破船」、「Tango Noir」を収録しています。全体的に優しい編曲で、歌い方も原曲より優しい。声は2005年新録よりも、伸びやかで、ビブラートもほぼ完璧です。自分のお気に入りは、「Tango Noir」で、この歌の難しさ、特に音程の難しさが原曲以上に、すごく伝わる。
『Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド』からは、「飾りじゃないのよ涙は」を収録しています。この蓮っ葉な歌い方でも、声は出るし、伸びるし、歌姫ダブル・ディケイドの中では、一番目立つ出来であり、自分は好きかな。
以上が、ワーナー時代のセルフカバーなのだが、自分は、案外、このCDの目玉は韓国音楽のカバーなのではないかと思っている。
シングル「初めて出逢った日のように」(2004年7月7日発売)。これは、NHK-BS2にて放送された韓国ドラマ『オールイン 運命の愛』の主題歌、パク・ヨンハ「初めて出逢った日のように」の日本語歌詞版をカバーしたものです。
発売の順序が逆になるが、そのセルフカバーが、シングル「赤い花」(2004年5月12日発売)です。これは、「初めて出逢った日のように」の同曲異歌詞カバー楽曲。
「初めて出逢った日のように」と「赤い花」の2曲はメロディは同じだが、歌詞から曲の世界観から歌い方から、180度くらい全く違う。「赤い花」は壮絶だ。「初めて出逢った日のように」と全くメロディは同じなのに、なぜこれほどまでに変貌するのだ、と唖然とするほどの中森明菜の力量に驚く。
「赤い花」の歌世界は、同じ明菜のカバーアルバム『歌姫』に収録された「私は風」という、一種ものすごい寂寥感(せきりょうかん)を表現した歌世界に通じるものがある。中森明菜の力量によって、異次元への扉が開く感じというか、無意識領域に浸透する感じというか。
中森明菜は、同じ曲でも、時期によって、声質によって、編曲によって、方針によって、歌い方が違う、歌い方を変えられる、多様な歌い方ができる、それで一定の水準を保つというのは、やはりひとつの大きな才能なのだと思う。つまり、引き出しが多い、ということ。ああ、だから、明菜は、セルフカバーや、他の歌手のカバー作品を多数、発表することができるのだな。
このアルバムを最後まで聴いて、少し残念に思うのは、全体の印象がちょっと散漫なことかなぁ。明菜が頑張って歌っているのに、報われていないというか。これ、ワーナー時代のセルフカバー作品は、その収録時期ごとにまとめておいたほうがよかったのでは? まあ、聴く方が工夫すればいいのだが。



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