高市、今度は潜在成長率だってよ。

ESP

ほとんど無意味だね。間違いなく、無知蒙昧な発言で、中身がない。

[東京 27日 ロイター]より引用。

「高市早苗首相は27日に国会閉会中審査として行われた衆院予算委員会集中審議で、金融政策の手段は日銀に委ねられおり、日銀とは緊密に連携を取り合っていると述べた。階猛委員(中道)への答弁。

為替相場については「多様な要因を背景に市場において決まる」とし、特定の事項が為替相場に与える影響について話すのは困難と指摘した。

その上で、潜在成長率を引き上げて強い経済をつくり、「日本経済の国際競争力を強化することは、結果として円の信認にもつながる」と強調した。」(引用ここまで)

ネット情報によると、潜在成長率とは、資源が完全に利用された場合に達成可能なGDP(国内総生産)の成長率のこと。 具体的には、国内の労働力や設備、技術を最大限に活用したときに実現する経済成長の指標であり、労働力の伸び、資本ストックの伸び、生産性の伸びによって説明される。

ここで、内閣府のグラフを2本。

潜在成長率はゆるやかに上昇している。GDPギャップは振れを伴いながらも改善傾向ではある。

しかし、潜在成長率は各国と比べて、日本はどんどん低水準化が進行している。

1985年のプラザ合意などにより、日本は急激に円高になり、製造業の海外現地生産が進展したことで、日本の製造業の空洞化が進行した。直近の約20年間は、実質実効為替レート指数で見ると円安傾向になっているが、人件費が海外だと安いし、原材料も現地調達できるし、市場も現地に近いところにあるので、円安になったそれだけの理由で、現地生産から日本の国内生産に戻ることはほとんどない。

したがって、平成17年国勢調査でみると、日本国内の産業構成(就業者数)は、今は第3次産業(サービス業)が67.3%を占め、第2次産業(鉱工業)は25.9%。でも、この人口構成は、他国と比べてもさほどおかしな構成ではない。主要先進国の15歳以上就業者数について産業3部門別の割合をみると、いずれの国も第3次産業の割合が最も高く、ほぼ同様の傾向となっている。

では、なぜ、日本の潜在成長率(だけ)がどんどん低下していっているのだろうか? 上記のグラフで見ると、日本に残っているのは全要素生産性くらいなもので、労働投入はずっとマイナス。資本投入も2000年以降はないに等しい。何だこれは? ネット情報によると、労働投入の寄与度は、90年代は主として週休2日制の導入による労働時間の短縮の影響、2000年代は少子高齢化による労働力人口減少の影響等によりマイナス寄与となっているとのこと。資本投入の寄与度は、企業の投資率の低下等を反映して減少傾向であるらしい。

労働投入の説明はなんとなくわかる。資本投入は第3次産業なんて、ほとんど資本ストックなんて使わないでしょうが、使うのは製造業じゃないのか? ああ、そうか、日本の第2次産業の就業人口はほとんどが中小企業なのだろう。大企業はほとんどが海外現地生産を行って、海外で固定資本形成をしている、だから国内の資本投入が伸びないのだ。ほら、昔のようなGNP(=国民総生産)じゃなくて、GDP(=国内総生産)でしょ。日系企業の海外生産分はGDPにカウントされないから。GNPならカウントされるんだろうけどね。日本の製造業が海外生産をすればするほど、実質GDPはどんどん低下するのは当然だ。GDPはそういう指標だからね。

経済産業省にグローバル出荷指数というものがある。このWEIT(2015年基準)を見ると、国内出荷指数:6869.8、海外出荷指数:3130.2。つまり日本にある製造事業所+日系の海外現地法人の製造品出荷は、7割が国内工場から出荷、3割が海外現地法人から出荷されている。

2022年の製造業出荷海外比率(=グローバル出荷のうち、日系海外現地法人からの出荷の割合)は、34.5%(2年連続の上昇、2015年基準最高値)と、前年の33.4%に比べて、1.1%ポイント上昇。
この上昇の要因は、国内工場からの出荷が減少して、海外現地法人からの出荷が増えているってことだ。つまり、製造業は、海外勢が、国内勢よりも動きとしては優勢なわけ。

2022年の海外市場比率(=グローバル出荷のうち、海外市場に出荷される割合)は、47.0%(2年連続の上昇、2015年基準最高値)と、前年の45.7%に比べ、1.3%ポイント上昇。

この日本企業の海外事業所の資本形成とか、労働力とか、それが、日本のGDPには一切反映されていない。実質GDPにしろ、潜在成長率にしろ、GDPで把握するものだから、海外現地生産が進展するほど、日本としては低め低めに出て、逆に、その現地法人がある国の実質GDPなり、潜在成長率の増加に寄与する。おそらく、製造業の海外現地生産なんてものを3割も行っている国は、日本くらいなもので、フランス、ドイツ、英国、米国はそこまでいっていないのじゃないかな。だから日本だけ、どんどん潜在成長率が低下するのだな。多分だけど。

するとさ、高市の「潜在成長率を引き上げて強い経済をつくり、日本経済の国際競争力を強化することは、結果として円の信認にもつながる」という発言は、ほとんど無意味だね。間違いなく、無知蒙昧な発言で、中身がない。

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