ハルマゲドンの少女[ファイナル幻魔大戦] 平井和正

ESP

シナリオノベルとはいえ、ト書きの書き込みがすごくて、すでに小説のレベルになっているが・・・

この少女(名前がはっきりしない)の言う台詞は、「真幻魔大戦」第14巻のソル王女クラスの叡智があります。第3部ビッグアップル壊滅も、あの少女の語った内容があるために、壊滅しても本当の壊滅ではない、それがはっきりしている。その地球が消滅しても全然かまわないのだろう。それは、わからないでもないのだが・・・。

そもそも、自分は「真幻魔大戦」(全15巻)を読んで、クロノスは、杉村優里だと思っていたのだが、そうではなく、クロノスは古代ギリシャのアポロと一緒にいて、そこから時空を経て来たのだ。では、役の行者の世界に移行した杉村優里は、時空の門を潜ったあと、どこに消えたのだろうか?

「ハルマゲドンの少女」はシナリオノベルとはいえ、ト書きの書き込みがすごくて、ト書きのレベルを超え、すでに小説のレベルになっています。これにもう少しだけ手を加えて、小説として公開しなかった作者の意向が理解しがたいですね。

最後には、最初の17歳の三千子(今度は、丈という弟がいる)に戻る、高校生で、桜並木があって、という場面で終わる。非常に美しい終わらせ方だ。

しかし、この小説には大きな問題がある。ニューヨークで、銃器が効かないゾンビに襲われたり、サタンの巨大な蛇だかを説得して引き下がらせたり、引きこもりになっているルナ王女を立ち上がらせたり、それなりの読書ポイントはあるのだが、そこに大きな隕石が落ちてきそうになり・・・。

本質的に、物語はそれではダメなのだ。この作者の最大の問題点は、今まで起きている事象のレヴェルと、これから発生する天変地異のレヴェルが違いすぎて、そうすると、今まで書いてきた=読んできた、いろいろな事象や人間関係などが、全部、チャラにされてしまう。

それが、前作「第二次幻魔大戦 ハルマゲドン」のような大地震(にならないが)だろうと、原作漫画のように、月が地球に大接近しようと、この作品のように、大きな隕石が落下しようと、または(書いていないが)太陽系が消滅しようと、すべて同じであり、それは、究極の初期化、究極のちゃぶ台返しである。これをこの作者は、案外平気で行うので、それまで読んでいた努力というのか、楽しみというのか、それも全部、初期化されてしまう。話がつながらなくなる。これがこの作家の最大の問題点だ。

この作家は優れた資質があると同時に、何か大きな欠陥を抱えているのではなかろうか? そういう物語のぶっ壊し方なら、子供の発想にも山ほどあるだろうが、大人なのだから、もっと考えないとおかしい。それだったら、「今まで私は、毎日、このように頑張ってきましたが、ある日、突然、銀河系が消滅しました」という小説と何も変わらない。ただのアホ小説だ。

読者が、カネと労力をつぎこんで頑張って読んできた、「角川『幻魔大戦』全20巻」+「『第二次幻魔大戦 ハルマゲドン』(「ついに語られる“ルシフェル伝”、渾身の1200枚!」と書いてある)」は、一体なんだったのか? そう思うのですよ。

それだったら、平井和正氏が馬鹿にしていた、りんたろう監督のアニメ映画「幻魔大戦」の終わらせ方のほうが、百倍も千倍も、まともだ。

ハルマゲドンというのは、新約聖書ヨハネ黙示録の、世界の終末に起きる、善と悪の最後の決戦だと思うが、平井和正氏の小説では、その大きな隕石の落下は、単なる自然現象ではなく、幻魔が引き起こしている現象なのに、幻魔がどういういきさつで、どういう準備をして、なぜその時に、その場所で、それを起こすのか、という機序の説明が全然ないのはおかしい。

「ハルマゲドンの少女」は、こういう書き方をして、こういう終わらせ方をしており、読者はもっと怒るべきだったのだ。作者は2015年に亡くなっているが。

それでわかりました。平井和正氏には、(失礼ですが)上記のある意味での欠陥、もしくは実力不足があり、(天界としては知られてはならない)ハルマゲドンそのものを描く実力はない、だから、言霊がおりる相手として平井和正氏が選ばれたのです。

追記

後書きには驚いた。白アリ駆除の話は少し知っていたが、この作品の後書きに詳しく書かれていた。平井和正氏宅の白アリの被害はさほどでもなかったが、書斎の下の風呂場の脱衣所の床下部分に薬剤を噴霧したので、書斎だけが薬剤臭くなり、それを吸い込んでしまい、熱が出て寝込んでしまった。寝込んでいるうちに45歳になった。それで、「幻魔大戦」「真幻魔大戦」の言霊が離れていってしまった、と書いてあります。自分は、上記のことと、「真幻魔大戦」最終巻のひとつ前の第14巻で「幻魔書」(=「サタンの書」)、あるいは、堕天使ルキフェルの言葉を、平井和正氏が書いてしまったために、(天界にその時期が来たと判断され)その後、言霊が離れたのだと、これは勝手に思っています。

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