贋金(にせがね)づくりの商売は、本来的には成立しないので、設定がおかしい。
物語の最初、国営カジノから盗んだカネが偽札のゴート札だったので、ルパンたちが自動車から大量にばらまき全部捨てる。そこの説明がない。つまり、自分はノベライズ版を劇場公開後に読んでいて、そこに説明があったのだが、このゴート札は精巧な偽札で、問題なく使えるのだ。だが、ルパンは誇り高い盗賊なので、ゴート札は使わない、だから捨てる、なのだが、その説明が映画本編にない。
あのね、ゴート札は使える偽札であり、国営カジノにもあったのだから、使っていいのよ。それで、この物語は、最後、何の報酬もないでしょう? だから、このゴート札はもらっておいていいの。だから、本来、カリオストロ公国に、ルパンたちが出向く必要も特段ないわけ。
そこで、全然問題がないゴート札の謎(?)を解くために、カリオストロ公国にルパンたちが向かう。というのが理解できない。彼らにとって、ゴート札などというのはゴミ同然でしょ? 無視すべきでしょうが。
ルパンたちがカリオストロ公国に入ってから、最初のカーチェイスが面白いが、クラリスが美少女だから追いかけたのは明白だ。ブスな女もしくは、老女、あるいは男性だったら追いかけない。当然だよね。でもね、どうでもいいじゃない。(ほとんど)赤の他人のクラリスが生きようと、死のうと、なぜ追いかけて、助けようとするのか、動機が全然わからない。
このアニメ、動機が全然わからない、というのが(というか、「も」)大きな欠点なのだよな。
次に面白いシーンは、少し後で、カリオストロ城に忍び込んだルパンが、猛烈に高い場所で、掴まるところもほとんどない状態で、どう動くのか、という描写が面白い。ここは宮崎駿の上手い演出が冴える。
囚われの身ではあるが可憐なクラリスと、自由で勇敢で頭が切れる不二子は対照的で、のちに主に2人のキャラが合成され、「風の谷のナウシカ」の主人公ナウシカという、魅力的なキャラが形成されたと思う。クラリスには優しく声をかけ、不二子にはぞんざいな口を利くルパンは、その後の「千と千尋の神隠し」の湯婆婆(ゆばーば)につながっている。
カリオストロ城の地下で印刷・製造されている、偽札のゴート札は各国から発注がある。国連だかの、各国間の争いの場面があるから、間違いなく、各国の政府から発注されている。まあ、犯罪組織からの発注もあるかもしれないが。
ここには日本の1万円のゴート札もあった。これ1万円のゴート札1枚をいくらで売るのだろうか? 1万円以上という価格だったら相手が絶対に買わないし、1万円未満という価格だったら、自分だったら売らないで、自分で使うよ? 当然だよね? だから、贋金(にせがね)づくりを商売でやるって、おかしいんじゃないのか? 商売にならないだろう? 設定がおかしいんだけどね。
あと、「自国の通貨発行権が自国にある」と言うのはまやかしで、本来はどこかの国(多分、ルクセンブルクかな? 違うかな?)がその権利を握っており、自国で自由に通貨を発行できる権利を得ようと行動すると、暗殺されるという話を読んだことはある。あのさ、自国で好きなだけ通貨を発行出来たら、そのカネで海外資産を買いあさり、それこそ地球上のものをすべて買って、自国のものにするよね? だから、それができないようになっている、というのはある意味、当然なわけだ。「自国の通貨発行権が自国にある」という方が狂気じみている。だから、これ、秘密でもなんでもないと思うのだがね。
しかし、だから、各国政府がカリオストロ公国に贋金づくりを依頼したとして、上記のことを考えると、日本の場合は、1万円のゴート札を、1万円で買うだけ(それしか、ありえないでしょ?)、つまり両替というか等価交換になってしまい、日本としての通貨発行量は、ゴート札の分だけは確実に増えるかというと、国内の1万円札のX枚が、1万円のゴート札のX枚に変化しただけで、日本国内の通貨発行量は全然変化しない。その分のカネは海外(カリオストロ公国、それからさらに第三国へ)に流出しているから、この分、通貨発行量は増えてはいるのだが、すでに日本円ではない。この金で、日本が好き勝手に海外資産を買いあさり・・・はできない。さらに、1万円を1万円で買ったのだから、日本の裏金にもならない。
各国政府が自国の通貨発行量を増やそうとして、贋金づくりを発注するのなら、海外生産ではだめで、国内生産でないと意味がない。だから、各国政府が贋金づくりを、カリオストロ公国に発注するということ自体、起きるわけがないのだ。
だから、やはり、どう考えても、贋金づくりは商売として成立しない。逆に、これをすると、世界中にカネが余りすぎて、カリオストロ公国どころか、全世界がインフレになるのではないのか? 宮崎駿は、学習院大学を卒業しているのだが、学習院大学では経済学を教えていないのかね?
終盤で、不二子がTVカメラを持ち込み、とっつぁんとともにカリオストロ公国の贋金づくりを暴き、最後、インターポールの隊員が落下傘で多数降下するのだが、贋金づくりに意味がないのだから、ここ全部、意味がないよ。この作品を名作だと言っている人、わかっているのかな? それとも馬鹿なの?
あのさ、当時無名で、あとで有名になると、無名時代の作品に高値がつくようになる、ゴッホの絵画とかと同じでね。人気が出てくるから。でもさ、本来、モノを見る目がない人が、それを所有したり褒め出したりしても、風のささやきと同じで本来、何の意味もないのだよね。だって、馬鹿が褒めてるだけじゃない?
2つの指輪を合わせると、文字が読める。古いゴート文字。これは、一種の暗号だ、一列の文字列を、上下2つに分解してある。組み合わせると、その言葉は、一つの詩になっている、その詩は、クラリスが知っているものだったが、その意味を知らなかった。ルパンが一瞬で、その意味を理解する。
既に知られている詩に意味があるのは「風の谷のナウシカ」に、指輪、つまり石の働きで、悪が退治され、真の財宝が出現するのは「天空の城ラピュタ」の飛行石に繋がっている。
最後、遺跡がでてくるが、もっと下にないと、普段から上から見えちゃうよ? 遺跡自体が宝ではなく、遺跡の内部に本当の宝があると思うのだが、宮崎の興味はそこにはない。つまり、遺跡はただの与えられない報酬的なもので、意味はない。ただ見せただけであり、持ち帰れないものなら、UFOの残骸でも、ピラミッドでも何でもよいのだ。
でもさ、伯爵とクラリスの結婚式を、財宝目当ての結婚式とかルパンが言っているけど、だいたい結婚自体が、カラダ目当てか、生活費目当てか、財産目当てじゃないの? すごく、フツーだと思うよ?
だいたい、別記事に書いたように、子供は馬鹿が作るものだしね。
この作品、設定はおかしいが、脚本はまあまあ上手い、作画も、美術も演出も上手いのだが、最大の欠点は、思想が浅いこと。この物語は、宮崎の中年男の妄想の産物だよな。財産目当ての結婚はフツ-だけど、問題はロリコンだよな。伯爵がロリコン? ルパンもロリコンじゃない? 宮崎がロリコンなだけでしょ。一連の作品群でわかるよね。宮崎自身が、クラリスと結婚したいわけだ。美少女のお姫さまとヤリたい、ついでに財産もほしい、そういう宮崎のあこがれというか、欲望をそのまま剥きだしにしてきた作品であり、中年男の臭いがする。
宮崎は、伯爵であると同時に、ルパンでもある。宮崎駿の1人2役なのよ。貪欲(どんよく)な中年男だね。
この作品では、ルパンは悪役ではなく、むしろ、救いの神だ。最後はクラリスの心だけを奪っていき、物質的には何も盗らずにカッコよく去っていく。ルパンは、宮崎駿の分身だから当然だ。
公開当時、この作品はヒットしなかったが、今では、宮崎駿のその後の功績から、この作品も名作扱いになっているようだが、個々にきちんと鑑別したほうがいいよね。自分としては、ルパンの作品の中では一番、気に入っているが、宮崎駿監督の傑作かというと、微妙ですね。



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